『らーめん改』

 口の中に広がる遥かな海の記憶。

 『らーめん改』は2016年2月2日、国際通りに面した蔵前4丁目にオープンしました。『改』という一風変わったネーミングは、「改善」「改革」などを意味する「改」で、常に進化、ブラッシュアップしていく姿勢を表しています。

 店主の木場本幸治さんは、『らーめん・つけめん いつ樹』(青梅市)、『らーめん 五ノ神製作所』(新宿区)出身で、前者は「鯛塩らーめん」「海老つけ麺」、後者は「海老リッチらーめん」「海老トマトらーめん」などのメニューで知られる有名店です。そのためか、蔵前に出店する際も海の幸を出汁のベースにしたラーメンを考案し、アサリをメインに、煮干しや昆布で出汁をとった「貝塩らーめん」を独自に開発したのでした。今ではこの味を求めて、地元はもとより各地からやって来るラーメン好きで連日賑わいを見せています。

 蔵前にお店を構えてすでに4年の月日が流れましたが、ご近所さんを中心に徐々に人気が高まり、常連さんも増えたそうです。食べログが認定する「ラーメンTOKYO百名店」に2018年、2019年と連続で選出されていることからも、その実力のほどが判ろうというもの。しかも、百名店の中でもトップクラスの3.94点という高い評価を受けているのです。(2020/6/29現在)

 もう、これは食べるしかない。というわけで、店長おすすめの「貝塩らーめん」を早速いただいてみました。券売機で「貝塩らーめん」(850円)をプッシュして、チケットを購入。カウンターの上に置いて「お願いします」と店長に声掛けすると、7分ほどで薫り高い丼が目の前に。

 見た目はシンプル。ちょっと薄めのレアチャーシュー2枚に、ワカメ、貝の出汁と相性のいい三つ葉、そして麺は太めの平打ち縮れ麺。特徴的なのは、メンマ(※)の代わりに日本のタケノコをトッピングしていることです。まず、貝出汁のスープを一口。すると口の中に磯の香りが広がり、遠い昔、まだ人類が誕生する前に海の中にいた、われわれの祖先の記憶が呼び覚まされるような錯覚に陥りそうになります(かなり大袈裟)。「は~」という言葉にならない溜息のようなものが漏れてしまいそうです。

※メンマは、中国南部や台湾産の麻竹(マチク)を発酵させた食品で、日本ではもともと「志那竹」と呼ばれていました。しかし、中華民国政府の抗議を受けて、「ラーメン上のチク」を省略して「メンマ」という名称を考案したと言われています。

 続いて縮れ麺を啜ると、スープがほどよく絡んで、麺のモチモチ感と出汁の香りが鼻孔をくすぐります。そこに三つ葉の香りが絡んで至福の時が訪れます。タケノコのシャキシャキ感も心地よく、5分ほどで完食。「ああ、らーめんって、完全食だなぁ。日本人でよかったなぁ」と、しみじみ想う梅雨のひとときなのでした。

 ちなみにテイクアウト販売もしています。ご家庭で『らーめん改』の味を楽しみたいという方も、是非どうぞ。

 

らーめん改

 住所: 〒111-0051 東京都台東区蔵前4-20-10 宮内ビル1F
    [アクセス]都営浅草線・都営大江戸線「蔵前駅」より徒歩3分
 電話: 03-3864-6055
 営業時間:11:00~15:00/17:30~21:00ごろ(スープ切れ次第閉店)
 定休日:月曜日
 Twitter:@ra_menkai
 Facebook:@kainoodles
 instagram:@kainoodles

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